携帯電話、PCMレコーダー…最新情報機器の実力を診断

ワンセグ、国際ローミング、高速通信機能、高画質大画面ディスプレーなど、「ハイスペックの嵐」という状態だ。■現在、台風の目になっているのがNTTドコモの「905iシリーズ」。いわば「(機能)全部入り」というイメージのモデルが多い。ドコモの中村維夫社長が「ここまで売れるとは思わなかった」というほどの売れ行きだ。■キャリア各社はいずれも、従来では考えられなかったようなハイスペックなデジタルカメラ機能を搭載したモデルなど高級機を投入しようとしている。■高機能やハイスペックをうたっているからといって、使いやすいとは限らない。■高精細の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレーを売り物にする機種も増えているが、ワンセグ放送を見るのであれば画質の違いはあまり出ない。地上デジタル放送は1秒60コマだがワンセグは1秒15コマしかない。有機ELは、1秒30コマ以上の映像でなければ良さを発揮できないといわれている。つまり、ワンセグを見る場合は有機ELと従来の液晶ディスプレーでそれほど差が出ないということだ。■自分のしたいことに合致した機能かどうかを見極めなければ、「全部入り」を買ったとしても豊富な機能を使わない結果になる。■「うたい文句」を実際に体感できた機種がひとつある。■NTTドコモ「P905iTV」はワンセグ映像のコマを補完して1秒30コマにする機能を持っており、映像はかなり滑らかだ。特にスポーツなど動きのある映像では有利だ。■デジタルカメラのような形状の携帯電話や、500万画素以上の画素数を売り物にする機種がどんどん登場している。手ぶれ補正や顔認識など、デジカメ並みの機能も次々と搭載されてきている。■しかし中には、スペックは良くても使いにくいものもある。買う際には注意が必要だ。■フラッシュは必須の機能だ。携帯電話のカメラはデジカメに比べて、暗い場所での撮影が不得意な傾向があるためだ。■春モデルでフラッシュを装備しているのはソニー・エリクソン製端末(NTTドコモ「SO905iCS」、au「W61S」)と、ソフトバンクノキア製端末「X02NK」。■ソニー・エリクソン製端末はシャッターなどの使い心地がデジカメに近い。GPSの位置情報を自動的に取得して、写真に撮影場所の情報を付けられるなどの機能もある。■ノキア製端末はスペックではソニー・エリクソン端末に見劣りがするが、撮影時や再生時の使い勝手が良い。■「うたい文句」の裏を読むことが大事だ。■どんな機器でも、実際には使わない機能がたくさんある。その機器を買って自分が何をしたいかを冷静に考えたうえで、選んだ方がいい。

■興味深い商品カテゴリーとして、リニアPCMレコーダー・ICレコーダーがある。2007年度の市場規模は「前年の120%に達しそう」ということで、好調な分野だ。■特にCD並み以上の音質で録音できるリニアPCMレコーダーの人気が高まっていて、昨年から各メーカーが次々と参入している。■100%趣味で使うのか、仕事と遊びの双方で使うかなどで選び方が決まってくる。■自分の演奏を録音するなど100%趣味で使うなら、ソニー「PCM-D50」がお薦め。大きくて重いが、DAT以上の高音質で録音できる。■三洋電機「ICR-PS390RM」がお薦め。ICレコーダーと見た目は変わらずコンパクトな大きさのため、インタビューや商談など仕事で使っても違和感がない。音質も良く、8GBの大容量メモリーを内蔵している。■パスワードを設定するとファイルの存在を隠せるなど、万一なくしたときのセキュリティー機能も充実している。■携帯電話にしてもPCMレコーダーにしても、最新の情報機器を購入する際には自分が何をしたいのかを考えて選ぶのがもっとも重要だ。

日経ブロードバンドニュース http://www.nikkei.co.jp/bb/index.html