値上げラッシュで人気、安くて高品質のPB商品製造の裏側

日経トレンディ 北村森氏、キャスター 池崎美盤


PB商品はなぜ安い?
■プライベート・ブランド=PB(自主企画)商品は宣伝広告費や研究開発費、流通マージンなどが抑えられているため、ナショナルブランド=NB商品よりも1―3割ほど安い。■原材料費の高騰による値上げラッシュの中で、コストを抑えたPB商品をそろえれば集客につながると、小売り各社が力を入れている。PB商品は90年代半ばにヒット商品となったが、最近また人気を盛り返してきている。■以前の「PBブーム」と違うのは、最近のPB商品は品質でNB商品とほとんど変わらないものが出ていることだ。


「PB商品はNB商品よりも品質が劣る」というイメージが強いが・・・
■「日経トレンディ」5月号では巻頭特集でさまざまなNB商品とPB商品を比較した。確かにPB商品がNB商品よりも劣ると感じたものもあったが、「この品質でこの値段ならいいのではないか」というものも多かった。


どのようなPB商品をNB商品と比較したのか
■食品や日用雑貨、家電などを比較したが、もっとも違いがわかりやすいのが小麦値上げの影響を受けたカップめんだった。■日清食品の「カップヌードル」は128―168円だが、PBカップめんの最安値は78円と、4−5割も安い。■「日経トレンディ」では日清食品の「カップヌードル」と、代表的なPBカップめん6種を比較した。「TVチャンピオン」のラーメン王など3人の専門家と記者が評価したところ、「ほとんどのPBカップめんが十分満足できるレベルにある」という意見で一致した。


PBとNBのカップめんの差はどこにある?
■PBとNBのカップめんの差は具材の量にある。一般に縦型カップめんの具材のコストは10円前後といわれる。PBカップめんは何銭、何十銭レベルのコスト削減を積み重ねており、具材を減らすのは常とう手段だという。■NBの「カップヌードル」はコストの高いエビが多く入っていた。一方のPB商品は、エビが少なかったり、入っていなかったりと具材の量に差があった。


PB商品はどのようなメーカーが作っているのか
■現在は業界の2番手、3番手の大手メーカーがPB商品を製造している。かつて、PB商品は業界の下位メーカーが製造するケースが多かった。小売業者が大手メーカーにPB製造を頼んでも相手にしてくれなかったのだという。■だが、この数年で状況は劇的に変わった。今では業界の2位や3位、商品によっては1位のメーカーもPB製造を引き受けている。PB商品の質が向上したといわれるのはこのためだ。


PB商品を作るメーカーの狙いはどこにあるのか
■メーカー側の狙いはPB商品を隠れみのにしたシェア争いだ。「PBを利用して積極的にシェアを奪いにいく」と判断する企業が出現している。■PB製造はメーカーにとっていくつかの利点がある。工場の遊休ラインを効率的に稼働させられるうえ、PB商品は小売り側の買い取りなので在庫リスクを抱える心配もない。■PB商品を製造して小売り側と仲良くなることで、「自社ブランド商品の扱いも増やせるのでは」という思惑もある。


PB商品を扱う小売り側にとってのメリットは
■小売り側にとっては、大手メーカーの商品の製造コストや収益率、製造ノウハウを知ることができる。 一見すると、互いの思惑が見事に合致しているように感じられるが、実情はそう易しいものではない。


今後のPB商品はどう変化していくのか
■下位メーカーがPB専業に転身する可能性がある。PB商品の比率の高い欧米ではすでにPB専業メーカーが多く、日本でも同じ動きが出るかもしれない。■赤字寸前の状態でPB商品を製造するメーカーも出ており、PBから撤退する企業も出始めている。


今後のPB商品はどう変化していくのか
■原料や物流費の高騰の影響を受け、今後はPB商品も値上げを避けられない状況になっている。そこで「日経トレンディ」が今後増えそうだと予想するのが付加価値の高い「プレミアムPB」だ。高価な素材や良いデザインを採用したり、環境保全を切り口にしたPB商品の発売が相次ぐのではないか。


日経ブロードバンドニュース http://www.nikkei.co.jp/bb/index.html
【流通】食品値上げで売り上げ減:買い控え招き、割安品になびく…PBのカップめん、売れ行き約5倍に [08/04/08]
http://p2.chbox.jp/read.php?host=news24.2ch.net&bbs=bizplus&key=1207608050&ls=all