エコ商品の売れる条件は「お得」「格好いい」が重要

「日経消費マイニング」編集長 若林宏、キャスター 佐藤温子


エコ商品購入は女性の方が活発
今年の洞爺湖サミットでは「環境」がメーンテーマになることもあり、環境問題への関心は一段と高まっており、それも幅広い層に広がっている。今回、我々が首都圏の消費者を対象に実施した調査では、「環境問題への関心が2、3年前より高まった」という人が男女とも7割から8割と大半を占めた。商品を買うときに「環境への影響を考えて選んでいる」という人も多い。「常に考えている」人は17%だが、「時々考えている」人も含めると8割を占める。男女別ではやはり女性が男性よりやや比率は高い。もともとエコ派が多い40―60代女性では9割以上だ。ただ、男性でも「環境への影響を考えて商品を買っている」人が30―50代では8割を超えており、すそ野が広がっている。


エコ商品所有のトップは「エコバッグ」

調査では様々な「エコ商品・サービス」の中から30品目を提示して、持っていたり使ったりしたことがあるかを聞いたところ、所有率トップはいわゆる「エコバッグ」で、6割近い人が持っている。買い物での「マイバッグ」「エコバッグ」の利用は中高年女性だけでなく、若い女性にも広がっている。産業地域研究所が3年前に行った調査では20代、30代の女性のマイバッグ所有率は3割足らずだったのが、今回は6割台にまで跳ね上がった。エコバッグが人気を集めたのには、「話題性の高さ」がある。「他の人にもすすめたい」エコ商品という設問でもエコバッグは2割近くを占めて1位だ。エコバッグの普及には昨春からのレジ袋有料化の流れからの「節約志向」もあるが、それ以上に最近、カラフルでおしゃれなエコバッグが増えたことが影響しているようだ。調査でも「使うことがおしゃれ・格好いい」エコ商品でも2位で、日用品としてデザインのウエートが大きいようだ。


男性は数値で納得するエコ商品を好む
一方、男性で今後利用したいエコ商品は、「電球型蛍光灯」や「ハイブリッド車」の比率が高い。こうした自動車や家電ではエコ商品にも「経済的なメリット」が求められている。ハイブリッド車は「経済的なメリットへの期待度」でエコ商品中、トップ。CO2排出量が少ないことはもちろん評価されているが、ガソリン価格が高水準にある中で、その低燃費性能も改めて見直されている。電球型蛍光灯も省エネ型で電気代削減につながる商品で今後の利用・購入意向が高い。女性が身近な生活から取り組める商品に共感するのに対し、男性は省エネの大型商品を買ってエコをしたと考える傾向があるようだ。


期待はずれエコは「外食・レストラン」「再生紙
エコ商品と思うものを買って「満足だった」人は8割強。ただし、満足するには環境への影響度とともにお得感や品質、使い勝手の良さなど商品自体のメリットが重要だった。逆に「期待はずれだった」エコ商品があるという人も全体の3分の1に達した。「外食・レストラン」などサービス分野で環境への影響度合いが不明と思う人が多かった。古紙配合率の偽造があった「再生紙」は5人に一人が環境への影響度について疑問を抱いていた。エコ商品といわれるものについても「環境に本当にやさしいのか、よくわからない部分がある」との回答も少なくない。実際、エコというだけで割高な商品を買う人は少ない。デザインも含めた品質価値が高く、しかもエコという商品が売れている。一般の人には商品そのものの利点と合わせて環境にやさしいことを打ち出すことが市場を広げるのではないか。
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