新製品ヒット予報 ヤマハが新楽器「テノリオン」、光るボタン押して作曲・演奏

muratamika2008-06-29

《新製品ヒット予報》日本経済新聞社 産業地域研究所が注目する商品を、専門家などによる評価委員の予測を総合的に分析しヒット予報を天気図で示します。天気図は「晴れ」「薄日」「曇り」「小雨」「雨」の5種類。


商品名「テノリオン」 ヤマハ http://www.yamaha.co.jp/tenori-on/
カテゴリー:雑貨  発売日:5月12日
価格:希望小売価格12万1000円  販売目標:1000台
本体サイズ=幅205ミリ、奥行き205ミリ、高さ32ミリ/重量=700グラム(乾電池含まず)/電源=アルカリ単3乾電池6本、電源アダプター/発音=ステレオスピーカー(出力容量1W)/LED=表裏両面に各256個(表面のみボタン機能あり)/接続端子=ステレオミニジャック、SDメモリーカード対応スロットなど


これまでにないまったく新しいコンセプトのインターフェースによる電子楽器。縦横約20センチの正方形のマグネシウム合金のフレームの内側に、白色LEDを内蔵したボタンを縦横各16個配置し、そのボタンを押すことによって演奏を行う。LEDボタンは、基本的に垂直方向が音階、水平方向が時間(音階の演奏順)を表し、押した音のボタンが光り、長押しするとその音階が自動演奏される。また音色や発音の長さ、演奏スピード、テンポ、音量等の調節はフレーム部のファンクションボタンで変更できる。


演奏は、音楽的な知識が無くてもLEDボタンを押すことによって感覚的に行うことができるが、シンセサイザーシーケンサーのように段階的に音楽を制作していくモードに加え、LEDボタンの押し方でさまざまな演奏が感覚的に行えるモードなど6つの演奏モードを装備し、多彩な演奏が可能だ。本体裏側に表面の演奏LEDボタンに連動するLEDを搭載、合計512個のLEDが光ることにより、演奏を行う反対側(客席側)からも演奏が確認でき、パフォーマーとリスナーが一体となるパフォーマンス性を発揮できる。


2007年9月にテストマーケティングとして英国内で限定販売を開始し、今年の4−5月にかけて英国以外のEU諸国、北米でも販売を開始した。最近では、特に先進国で楽器の需要が低迷しているが、電子楽器のテクノロジーと楽器本来のライブパフォーマンスを新しいコンセプトによって融合させた独創的な商品を出すことで、新しいユーザーを開拓するひとつのきっかけとなれば良いと思う。光と音の美しさや演奏の気持ち良さはもちろん、もう一度楽器の本質を見つめなおし、新デジタル時代にふさわしい楽器にしたいと考えている。


〜藤岡英里の感想〜「流れる光を目で追いながら、感覚的にLEDボタンを押していくとメロディーが奏でられるというのは、楽器を演奏しているというよりはゲームをしている感じで面白いです。ただ、音の組み合わせや様々なモードを覚えて使いこなすまでには、それなりの時間がかかりそうです。今後の広がりが楽しみな商品ですが、12万1000円という価格は、気軽に手にするというのは難しそうですね」


合金フレームの内側にLED内蔵のボタンを縦横16個ずつ配置し、ボタンを押して演奏する電子楽器。メディアアーティストの岩井俊雄氏と2002年から共同開発し、2007年9月から英国で先行販売した。ビヨークらプロのミュージシャンがライブステージで使って注目された。いわゆる「楽器」とはイメージが違い、視覚的にもステージやジャムセッションなどでの演奏に向いている。また、視覚的、直感的に作曲や演奏ができるため、楽器が使えないというハードルを解消してくれる可能性も秘めている。


話題性、新規性は高いが、価格や使い勝手、ニーズはいわゆる素人には少し難しい。売り上げというよりこの商品が世界の音楽シーンに与えるインパクトを評価したい。ただ、細部の作りこみについて完成度をあげる必要がある。初年度目標の1000台をすでに完売する人気となっているが、12万円を越える価格や使い勝手などを見ると、電子楽器好きや演奏家などのプロの需要が高く、市場は限定的といえる。

【商品概要】視覚的、直感的に作曲・演奏できる
【評価委員コメント】楽器演奏のユニバーサル化につながる
【研究員の視点】市場は限定的だがインパクトは大きい
製品力:★★★★半 販売力:★★★★☆ 商品力指数:227 ヒット予想「晴れ」
日経ブロードバンドニュース http://www.nikkei.co.jp/bb/index.html