<特集>飛躍期を迎えた農業関連産業(4)=カギを握る中国市場、農機メーカーが熱い視線(モーニングスター)

モーニングスター 2010年10月8日
http://www.morningstar.co.jp/portal/RncNewsDetailAction.do?rncCode=NEWS&contentsType=&rncNo=367831
農薬・肥料とならぶ関連セクターの筆頭が農業機械だ。日本と同じ稲作地帯に属するアジア諸国の農業近代化が本格化するのに伴い、性能・耐久性に関して国際競争力のある日本製農機に対する需要の拡大に弾みがついている。


潜在的な市場規模の大きさからみて最も注目されるのがやはり中国だ。中国共産党と国務院は今年1月31日、その年における国政上の最重要課題を取り上げる「中央1号文件」のテーマに、いわゆる「三農問題」を掲げた。三農問題とは農業・農村・農民を指し、都市と農村間の格差や農業近代化の遅れ、離農の活発化などを包括した標語。三農問題が1号文件になったのは7年連続で、この課題の深化に対する危機感と、解決にかける意気込みの強さを表している。中国政府はこのため、多額の補助金を農業分野に投入している。


6月には同国共産党の中央機関である中央農村工作領導小組で農政全般を担当する陳錫文副組長が来日。農林水産省日本銀行などの関係者と幅広く意見交換した。同氏は来日時に行った講演のなかで、中国農業の現状について生産が消費水準の急速な向上に追いついておらず、耕地保護、農業施設・かんがい施設の建設、(生産向上意欲に富む)新型農民の育成と併せて、農業技術の進歩が重要性を増している旨論じた。


同氏によると、コメ・小麦・とうもろこしが需要を満たしているのに対して、消費量が増加している動物性たんぱく質および植物性油脂の供給源となる大豆の不足が加速しており、そのため同国は09年、過去最高の4255万トンの大豆を輸入した。これは同国内の大豆生産量1400万トンの約3倍、世界の大豆輸出の約半分にあたるという。限られた耕地面積にあって大豆の生産量を増やすには、他の品目の耕地を減らす一方、その生産性を引き上げることが焦眉の急となっている。


こうした情勢はわが国の農機メーカーも十分認識している。「アジアNo.1の農機メーカー」を目標に掲げるクボタ <6326> は中国で、トラクターおよび汎用コンバインの販売を本格化する構え。井関農機 <6310> は中国の自動車生産大手、東風汽車グループと現地合弁会社を設立して農機を生産・販売する計画を推進している。


中国に限らず、ベトナム、インド、タイなどでも日本製農機の需要は高まっている。農機用部品のメーカーでは、ピストンリングのリケン <6462> 、伝動ベルトのバンドー化学 <5195> 、農機用電装部品のユーシン <6985> などにも目を光らせたい。