多機能な機器とサービスを使いこなす パソコンで健康管理(2)(日本経済新聞)

日本経済新聞 2010/10/8
http://www.nikkei.com/tech/personal/article/g=96958A9C93819499E2E6E2E3968DE2E6E3E2E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E2E6E3E2E0E2E3E2EBE1EBE4
パソコンを健康管理に役立てる方法を紹介する本連載。2回目は体組成計など、多機能化した家庭用健康機器をパソコンと連動させながら使いこなす方法をアドバイスする。


パソコンやWindows OSが進化を遂げたように、家庭向けの健康機器も多機能化が図られている。その典型例が「体組成計」。体重と体脂肪率に加え、筋肉量や骨量、内臓脂肪レベルといった複数の項目を表示する機器もある。


こうした多機能な健康機器が一般的になった今、記録可能な項目が増えたことで、より煩雑になるのがデータの管理だ。本連載の前回(第1回)で紹介した、パソコンへの手入力や紙に記入する方法だと手間がかかる。


●機器に任せて楽しよう
手間がかかっても意欲が上回れば続けられるが、長続きさせるには、できるところから機器に任せて自動化した方がいいだろう。パソコンとの連携機能を備えた健康機器への買い替えも1つの手段だ。


例えば、測定したデータをSDメモリーカード/やUSBケーブル、赤外線通信などを介してわずかな手間でパソコンにコピーできる健康機器などが候補となる。


以下では、機器を実際に試して分かったメリットや便利な使い方を紹介する。


SDカードを介してパソコンに測定データをコピーできる体組成計がタニタの「BC-309」(実勢価格は1万5000円前後)である(図1)。 BC-309は、初期設定さえしておけば、以降は機器に乗るだけで人物を自動認識してくれるのが便利だ。一般的な体組成計は、測定前に機器本体のボタンを押して測定対象の人物を特定する必要がある。BC-309は体重や電気抵抗値で人物を自動的に認識するためボタン操作は必要ない。


測定データは、付属ソフト「Bodymanager」で管理する(図2)。最大5人のデータを保存できる。データはCSV形式で出力できるので、Excelなどの表計算ソフトを使って好みのグラフを作成することも可能だ。なお、パソコンにSDカードスロットが付属していない場合は、別途カードリーダーが必要になる点に注意しよう。


厚生労働省が公開している資料によると、40〜74歳の日本人のうち、約6割の男性および約4割の女性が高血圧に悩んでいるという。血圧値は、朝や晩など定期的に測定して推移を見守るのが基本。夫婦で交互に測定しているケースも多いだろう。おのずとデータ量が増えるだけに、パソコンとの連携機能が役立つ。


●家族の血圧を一生涯管理
パナソニックの血圧計「EW-BU70」(図3、実勢価格1万円前後)は、付属する128MBのSDメモリーカードに「50万回×5人分」の血圧値を保存できる。朝昼晩に毎日測定しても、100年間で約11万回なので、データ容量はまさに一生ものだ。


SDメモリーカードを介してパソコンに保存したデータは、同社のWebサイト「健康日記」(図4、無料)でグラフ化できる。データをCSV形式で出力する機能も備えている。


自宅だけでなく会社や旅行先などでも手軽に測定できる持ち運びに便利な血圧計がオムロン ヘルスケアの「HEM-7301-IT」(図5、約1万円)だ。付属ソフトで血圧の変動、朝と晩の比較、頻度分布などを表示できる。パソコンとはUSBケーブルで接続する。


本製品は、1人で持ち歩いて使うことを前提にしており、複数の人のデータを管理する機能はないが、いつでもどこでも測れるコンパクトさは魅力だ。保存できるデータ数は84回分。データはこまめにパソコンに保存しよう(図6)。


●歩数も併せて管理
体組成計や血圧計を単体で利用するだけでなく、歩数計などと組み合わせて総合的にデータを管理できる機器もある。


オムロン ヘルスケアの「HBF-354IT」(図7)は、体組成計と歩数計のセットだ。実勢価格は1万3000円)。体組成計は、両手と両足の4カ所で体脂肪や筋肉率を測定する全身タイプ。単体でも販売されている歩数計(HJ-710IT)を体組成計のメーターの裏側にセットすると、体組成データがワイヤレスで歩数計にコピーされる。歩数計とパソコンは USBケーブルで接続して、2つの機器データを同時に取り込む仕組みだ。


歩数計は、基本的に1人用のため、パソコンに移行できる歩数データは1人分。別売の歩数計をもう1個用意すれば、最大2人分のデータを管理できる。


付属ソフト「BI-LINK」(図8)を使えば、体組成と歩数データのグラフを一画面に表示できるので、体重の増減と歩数の関連性も一目で分かる。CSV形式でデータを出力する機能もある。


●3機器がリレーキーで連動
体組成計と歩数計に加え、血圧計のデータも併せて管理できるのが「からだカルテ」(タニタ)のリレーキータイプだ(図9)。3種類の機器のデータは、赤外線通信でリレーキーに保存され、リレーキーのUSB端子をパソコンに接続してデータを取り込む。


リレーキーをパソコンに接続すると、Webサイト「からだカルテ」を表示しデータが自動的に転送される。Webサイトにログインすると、各種データが参照できる仕組みだ。体重と体脂肪率、歩数、血圧のグラフを重ねて表示できるなど一覧性が高い(図10)。


●専門家が助言してくれる
健康機器に付属するソフトやサービスは無料のものが多いが、からだカルテは有料サービス(6カ月間で2000円)だ。各健康機器とサービス料金をセットにした商品もある。


有料サービスだけに、メニューも充実している。例えば、「食事分析&アドバイス」機能では、その日食べた食事やおやつなどを一覧から選択して入力すると、「栄養の摂取状況」欄に過不足の栄養素や成分が確認できる。健康を増進するには、日々の食事や栄養バランスにも気を使うべきだとの考えからだ。


さらに、生活習慣を見直す個別支援プログラム「からだサポート倶楽部」(別料金)も用意している。管理栄養士や健康運動指導士などの専門家がサポーターとして付いて、からだカルテのWebコンテンツを通して生活習慣傾向を分析した上で個別の健康増進を支援する(図11)。


からだカルテセットを利用するに当たり、いくつか注意すべき点がある。1つは、蓄積したデータをCSV形式で出力する機能がないことだ。


また、セット一式で管理できるのが1人分のデータであることも理解しておこう。別売の歩数計とリレーキーを追加購入すれば、複数人のデータを管理できる。無線でサーバーにデータを送信する「レシーバータイプ」もある。


日経パソコン 菅井光浩、ITライター 青木恵美
日経パソコン2010年9月13日号の記事を基に再構成]