携帯、スマートフォン向けサービスも続々 パソコンで健康管理(3)(日本経済新聞)

日本経済新聞 2010/10/9
http://www.nikkei.com/tech/personal/article/g=96958A9C93819499E2E7E2E3E78DE2E7E3E2E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E2E6E3E2E0E2E3E2EBE1EBE4
パソコンを使った健康管理術を紹介する本連載。最終回となる3回目は携帯電話やスマートフォンを使ったソフトやサービスを紹介します。


老若男女を問わず、多くの人が所有している携帯電話。健康増進のツールとして、携帯電話を活用したソフトやサービスに注目が集まっている。通話や待ち受け目的で、常に持ち歩いている携帯電話を活用しない手はないからだ。代表的なソフトが、NTTドコモの携帯電話「らくらくホン V」に標準搭載されている「健康生活日記」。内蔵の歩数計や脈拍計機能で測定したデータを閲覧・管理できる。


健康生活日記は、携帯電話単体でデータを管理する方式だが、パソコンと連携してデータを管理できるサービスも増えている。富士通が2010年8月10日から提供開始した無料の健康増進サービス「深体創工房」がその一つ(図1)。携帯電話に内蔵する3次元加速度センサーで歩いたり走ったりした歩数や活動量を計測。データは携帯電話網を介して専用サーバーに自動転送し、パソコンからもアクセスできる仕組みだ。


深体創工房は、タニタの体組成計「BC-501」や血圧計「BP-300」とも連携でき、体重や体脂肪、血圧データも統合して管理できる。ただし、利用可能な携帯電話は、「docomo STYLE series F-08A」や「同F-02B」など、富士通製の携帯電話に限られる。


富士通製以外の携帯電話や、NTTドコモ以外の携帯電話を利用している人は、携帯電話会社が提供している健康増進サービスを検討しよう。NTTドコモが「i Bodymo」を、auKDDI)が「Run&Walk」サービスを提供中だ(図2)。この分野は、2008年にサービスを開始したauが先行していた。2010年5月にNTTドコモが後追いし両陣営が出そろった。


両サービスともに、ウオーキングやランニングをした距離、ペース、コースの軌跡を表示できるなど、できることはほぼ共通。摂取カロリーの管理機能を備えているのはi Bodymoのみ、CSV形式でデータを出力できるのはRun&Walkのみ、といった違いがある。月額料金は、i Bodymoが157.5円と定額なのに対し、Run&Walkは利用するサービスによって無料〜315円と幅がある。


●ソフトが充実のiPhone
ソフトバンクモバイルが国内で提供する米アップルのスマートフォンiPhone」を用いた健康増進サービスも充実している。


代表例が「Nike+iPod」サービス。親指の先ほどのサイズの加速度センサー(2200円)をシューズに取り付けると、「走行距離と時間」「ペース」「消費カロリー」を計測する。測定データは、iPhone 4/3GSや携帯音楽プレーヤー「iPod」に無線で送信する仕組みだ。


測定後にiPhone/iPodをパソコンに接続すると、音楽管理・再生ソフト「iTunes」を介して米ナイキが運営するWebサイト「Nike+」(無料)にデータを自動転送する(図3)。Nike+を使えば、パソコンの画面上で歩行/走行距離を管理できるほか、目標を設定して達成度合いを確認したり、世界中のランナーと距離を競ったりできる。


センサーをシューズに装着するアダプター(約1500円)がサードパーティーから登場したことも朗報だろう。センサーが発売された当初は、収納するポケットが付いた専用シューズを購入する必要があった。アダプターを使えば好みのシューズにセンサーを装着できる(図4)。



試したところセンサーの精度は上々だった。1周が3.5kmのコースを繰り返し走った結果、誤差は数十メートルの範囲に収まった。走行後に距離を補正する機能もある。センサーの電池は交換できないが、寿命は約1000時間。電池が切れたらセンサーごと買い替える。


GPSで軌跡を表示
最近は、本体にGPS機能を内蔵した携帯電話やスマートフォンも増えた。iPhoneGPSを内蔵しており、ユーザーが今いる位置を「Googleマップ」などの地図サイトに表示できる。このGPS機能を使って歩いたり走ったりした距離を計測するiPhone用ソフトが「RunKeeper」(米フィットネスキーパー)だ(図5)。


RunKeeperの最大の魅力は、歩いたり走ったりした軌跡をGoogleマップ上に表示できること。Webサイトで無料のユーザー登録を行えば、 iPhoneの画面だけでなく、パソコンの画面でも確認できる。旅行先でウオーキングを兼ねて街を散策した軌跡などを、自宅に戻ってきてから眺めると楽しいものだ。コースの高低差も把握できるので、山歩きにも活躍する。その他の測定項目は、走行距離や時間、ペース、消費カロリーと、先に紹介した Nike+iPodとほぼ同じである。


RunKeeperは、自分の“つぶやき”を記録・公開する「Twitter」サービスとの連携機能を備えている。設定画面でTwitterのアカウントとパスワードを登録しておけば、測定後に走行距離などを自動的にTwitter画面に表示する。注意したいのは、コースの軌跡を含むWebサイトのURLも併せて表示すること。自宅の場所などの情報を公開したくない場合は、設定をオフにしておこう。走行した距離を定期的に音声で読み上げてくれる有償版の「RunKeeper Pro」(1200円)もある。(図6、7)


なお、RunKeeperは海外製のソフトのため、設定画面などはいずれも英語表記だ。日本語のiPhone用ソフト「JogBoy Free」(イカイカ ソフトウェア)も同様の機能を備えているので試してみるとよい。


●入力が楽だから継続できる
iPhone用のソフトを管理している「App Store」には、20万本を超えるソフトが登録されている。無料で利用できる優良なソフトが多い点もiPhoneの魅力の一つだ。健康データを管理する無料ソフトも充実している。


「体重カレンダー」(minolasoft)は、体重および体脂肪率を管理するソフト(図8)。グラフやカレンダー形式でデータを一覧できる。大きなサイズのボタンをタッチするだけでデータを入力できるのがうれしい。パソコンと違い、常時起動していて持ち歩いているiPhoneだからこそ、データ入力の手間も最小限で済む。「歓送迎会で飲み過ぎた」といった20文字以内のコメントを測定データと一緒に記録することも可能だ。


血圧データを管理したいなら「BPNote Lite」(hazelnutworks)がお薦め(図9)。朝と晩の血圧と脈拍データを記録できる。データの入力は、体重カレンダーと同じ方式のため簡単だ。


秀逸なのは、iPhoneに入力したデータをCSV形式で出力できること。設定画面の「血圧記録をメールで送信」ボタンをタッチすると、CSV形式のデータを添付したメールを登録済みのメールアドレスに送信してくれる。Excelなどの表計算ソフトにCSV形式のデータを入力すれば、自分好みのグラフを作成可能だ。


日経パソコン 菅井光浩、ITライター 青木恵美
[日経パソコン2010年9月13日号の記事を基に再構成]