【TPP】農業支援2兆円 所得補償拡充が柱 与党内の反発を考慮 財源のメドなく(MSN産経ニュース)


MSN産経ニュース 2010.10.24
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101024/plc1010240111001-n1.htm
11月のアジア太平洋経済協力会議(横浜APEC)の主要議題となる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加に向け、政府は23日までに2兆円規模の農業支援策の検討に入った。アジア太平洋地域で貿易や投資を自由化する経済的メリットは大きいが、海外の安価な農産物流入による農家への打撃が懸念される。TPP参加には与党内でも慎重論が強まっており、政府は手厚い支援策と引き換えに理解を得たい考えだが、財源のめどは立っておらず、バラマキ批判は免れない。


具体的には、今年度予算で5600億円を計上している戸別所得補償制度の拡充が柱となる。加えて(1)農業の競争力強化に向けた物流などのインフラ整備(2)海外へ輸出できる農産物の生産支援(3)高齢化が進む農村地域の活性化−などの支援策が浮上している。


政府は、自由貿易協定(FTA)推進で先行する韓国を参考にして、TPP参加と農業支援のパッケージ戦略を打ち出す方針。韓国は2007年に米国とのFTAに署名した際、20兆ウォン(約1兆4千億円)の農業支援策をまとめており、この方式を念頭に具体的な支援額を算出する。


TPPに関し、菅直人首相は1日の所信表明演説で「参加を検討する」と表明した。11月13、14両日に横浜市で開かれるAPEC首脳会議で参加を表明する意向を示している。


しかし、農林水産省は22日、TPP参加で農産物の関税を全廃すれば農業生産額が年間4兆1千億円減少するとの試算をまとめた。


農家・農業団体の反発も予想されており、民主、国民新両党の国会議員110人は「TPPを慎重に考える会」を設立、慎重な検討を求める決議を採択した。鳩山由紀夫前首相や山田正彦農水相も名を連ね、TPP参加を強く牽(けん)制(せい)した。



【用語解説】環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)
シンガポールニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が2006年に発効した経済協定。自由度の高い包括的な内容が特徴で15年までにすべての関税の原則撤廃を目指す。「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」のベースになるとされ、現在は米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアが加わり、新たな枠組みの協定交渉が進められている。