ホテル&商業施設 ニッポンの激戦区は今

日経トレンディ 北村森氏


トレンドをウォッチする立場から「激戦区」はどのように見えるか
■「激戦区」は時代とともに移ろうものだ。■どの分野のどんな激戦区がどこにできているかを見ることで、さまざまな業界の現在と未来が見えてくる。■「日経トレンディ」最新号では「ニッポンの新・激戦区」という特集を組んだ。


どの業界で、どの地域が激戦区として注目なのか
■まず注目されるのは、ホテル業界。■ここ数年、東京の中心部に外資系ブランドのホテルが多く参入したが、今後「新・激戦区」になるのは間違いないといわれている場所が2個所ある。■そのひとつが横浜だ。もともとアクセスが良いうえに、近くにある羽田空港は2010年に国際空港化されるのではないかといわれている。2009年には日産自動車の本社も移転してくる。■ビジネス客も観光客も狙えるということで、さまざまなホテルが次々と進出してくる。


横浜にはどんなホテルがオープンするのか
■デザイン性の高さなどで世界的に有名な人気ホテル「Wホテル」が進出する。2010年夏をメドに「W Yokohama」が赤レンガ倉庫に隣接する地区に開業する予定だ。■馬車道地区には2010年に完成する予定の森ビルの超高層ビルがあり、「パークハイアット」の誘致を進めている。■2009年にはニューオータニがJR桜木町駅前に開業を予定。セガが建設する複合施設にもシティーリゾートホテルが入るといわれている。■もう1個所は神戸だ。期せずして、東西の人気の港町でホテル戦争が起きるということになる。


神戸はどんなホテルがオープンするのか
■今年10月に「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」が開業する。全室スイートでオーシャンビューのテラス付きという豪華さだ。■2009年春に完成する「神戸ミッドポートプロジェクト」は、ホテルを核とする複合商業施設。神戸で人気の都市型オーベルジュ「神戸北野ホテル」運営会社の社長兼総料理長が初めてゼロから手掛けることで話題を集めている。■このほか2010年に、もうひとつ大型ホテルが誕生する。


ホテル以外で注目の激戦区は
■ショッピングセンターやアウトレットモールなどの商業施設は、意外な場所で激戦が繰り広げられている。■ショッピングセンターでは今、群馬県伊勢崎市とその周辺地域が出店ラッシュ状態だ。車で移動できる範囲にはすでに数軒の大型ショッピングセンターがあるが、今年以降さらに増える予定だ。


なぜショッピングセンターが次々とできるのか
■伊勢崎周辺はもともと車社会で、一家に何台も車があるのが一般的だ。週末に車で郊外のショッピングセンターに行って買いだめして帰ってくるという、欧米スタイルの消費行動が定着している。■大型店の郊外出店を規制する「改正都市計画法」が施行されたことも背景にある。大型店の出店が今後は難しくなるため、駆け込みと思われる出店申請が増えた。


アウトレットモールの激戦区は
■仙台がアウトレットモール激戦区になる。市内にはすでに1軒のアウトレットモールがあるが、2軒がほぼ同時期の9月に開業する。■仙台でアウトレットモール戦争が起きる背景としては、関東や関西に比べて東北圏でのアウトレットモール進出が比較的遅れていたことがある。また、仙台は「買い物好き」の土地柄でもある。


ライバルが集まる激戦区を勝ち抜くのはたやすいことではない
■特に仙台の場合は商圏の人口が比較的少なく、アウトレットモールの戦いはし烈なものになるだろう。■アウトレットモール経営者の1人は「近隣からどれだけ客を呼べるかが重要だ」と強調し、厳しい戦いを覚悟している。■ホテル、ショッピングセンター、アウトレットモールのいずれも、今後数年でどれだけ客をつかんで勝ち残れるかが重要だ。

日経ブロードバンドニュース http://www.nikkei.co.jp/bb/index.html
(仮称)神戸ミッドポートプロジェクト http://www.city.kobe.jp/cityoffice/27/syogyo/daiten/kobe-mid-port-project.htm