米国から薄型テレビの黒船「ビジオ(VIZIO)」来襲


日経トレンディ 北村森氏、キャスター 池崎美盤


いま注目の激安商品は
■今後、衣料ブランド「H&M」(へネス・アンド・モーリッツ)など海外の激安ブランドが続々と日本に上陸する。■中でも注目は、激安液晶テレビの「ビジオ」だ。


「ビジオ」とは?
■「ビジオ」は米国に本社を構える新興テレビメーカー。社名と同じブランド名の薄型テレビを圧倒的な安さで提供し、米国でシェアを大きく伸ばしている。2007年、米国内でのシェアはシャープ、ソニーを抜き第2位となった。■「ビジオ」は42型のハイビジョンモデルが日本円で約9万円、フルハイビジョンモデルでも約11万円と低価格。国内大手メーカーの同型の機種が20―30万円、国内新興メーカーの機種でも15万円程度するのでその安さは際だつ。


低価格実現の秘密
■製造は外注し、宣伝費などをかけない徹底したコスト削減で低価格を実現している。■大手メーカーは数万人の社員がいて工場もあり、自社で設計・開発をおこなっている。一方、2007年の売上高が20億ドル(約2000億円)に達するビジオの社員数は105人。■設計・開発は台湾、中国の企業に委託している。日本ではデジタル家電ベンチャーバイ・デザインが同じようなビジネスモデルをとっている。


日本に進出する予定は?
■公式には発表されていないが、ビジオのウィリアム・ウォンCEO(最高経営責任者)は「(日本進出に向けて)複数の企業と話を進めている」と話している。上陸間近といえるのでは。


低価格テレビ「ビジオ」の品質は?
■低価格テレビといえば「安かろう・悪かろう」と思われがち。特に日本の消費者は品質に世界一厳しいとされる。■「日経トレンディ」5月号では米国で記者が42型フルHDモデルを購入し、先取りテストを実施した。


実力チェックのポイント
■「ビジオ」をバイ・デザインユニデン、ダイナコネクティブの商品と比較。さらに大手家電メーカーのトップ機種として画質評価の高い東芝の商品とも比較した。■チェックポイントは「画質」「音質」「操作性」「デザイン」の4つ。AVコンサルタント、AV評論家、プロダクトデザイナーといった専門家3人と記者が厳しく評価した。


比較してわかった「ビジオ」の実力
■「ビジオ」は日本の低価格モデルよりも評価が高かった。大手家電メーカーのトップクラスの商品との差はあるが、10万円以上の価格差ほどの実力差はなかった。■画質は高級機種には劣るが、低価格機種の中では最も優れており合格点といえる。■音質面では、一般的に低価格機種が弱いとされる低音域も出せている。■デザインは大手家電メーカーの高級機をもしのぐ良さ。遊びごころもあり、専門家を最も驚かせた。


「ビジオ」の課題
■リモコンの感度が低めで動作が緩慢な印象。ザッピング時に気になる。■電子番組表(EPG)などは、ビジオは汎用品を組み込むはずなので、高い性能はあまり期待できないと想像される。■視野角は低価格機種の中でも狭い。


「ビジオ」は買いか?
■課題はあるが、10万円以上という大手メーカーとの価格差ほどの差はなく「買い」といえる。■「ビジオ」は低価格テレビのイメージを覆す実力を持っており、大手メーカーの脅威となりうる。


Vizio Inc. http://www.vizio.com/
ビジオ テレビ - Google 検索 http://tinyurl.com/37x3g2
日経ブロードバンドニュース http://www.nikkei.co.jp/bb/index.html