ヒット商品の意外なトレンドとは? 「日経トレンディ」渡辺編集長

muratamika2008-07-06

日経トレンディ編集長 渡辺敦美、キャスター 池粼美盤


消費者はどこで何を買っているのか
■「日経トレンディ」8月号ではコンビニやインターネット通販などでの売れ筋商品のランキングを、時間軸や男女別、年齢別、地方と都会などの切り口で分析。見えにくかった消費者の今の姿をあぶり出した。■この結果、「脱力オトコとボーダレス女子」などをキーワードとする、新しい消費の傾向が見えてきた。


「脱力オトコとボーダレス女子」とは
■「ボーダレス女子」とはあらゆる方向にアンテナを張っている女性たちのことで、実感のある「本物」を求めて積極的に消費し続けている。■「脱力オトコ」は自分の世界にこもり、感性に合ったものだけをピンポイントで消費し続ける男性のことを指す。


女性の方が積極的に消費活動をしているのか
■女性たちは男性向けであろうと自分より若い世代を狙った商品だろうと、納得すれば性別や年齢に関係なく取り入れている。■例えば化粧品口コミサイトの「@cosme」のシャンプー部門では男性向けの「サクセス 薬用シャンプー」が人気ランキングの3位だった。頭皮のべたつきを気にしていた女性に受け、クチコミで一気に広まった。■20代の女性が100円ショップで買う商品の1位は10代を中心に売れている付けまつげとなっている。40代の女性がカラオケでよく歌う曲のなかには大塚愛絢香のものが入っている。


「脱力オトコ」というキーワードの意味は
■活発に動く女性に対し、男性のライフスタイルはやや消極的で自分の世界にこもる傾向にある。もっともわかりやすいのはダイエットだ。ヤフーショッピングで売れ筋のダイエットグッズを見ると、30代男性ではダイエット食品など体を動かさない商品が10位中半数を占める。■オフでも積極的にお金を出すのは昔はまったアニメのDVDボックスや、雑音をシャットアウトして音楽に浸れるノイズキャンセリングヘッドホンなど、活発に動くよりも自分の世界にこもってリラックスしている姿が想像できる。■外での消費が少ないために男性の実態は見えにくいのだが、男性の消費の隠れたトレンドが明らかになった。


男性の消費の隠れたトレンドとは
■男性なのに“乙女グッズ好き”だということだ。例えば今、男性ファンが急増しているのが、かわいい着ぐるみのクマのキャラクター「リラックマ」で、コンビニで人気のキャラクター第1位。だらだらしたしぐさや脱力系の発言に共感し、「オフィスでいやされたい」と買っていく男性が多いようだ。■ほかにも“乙女化”の傾向はある。ギャル御用達のデコショップの上位に腕時計「Gショック」が入った。男性による持ち込みが増えている。


"乙女化"した男性には特徴があるのか
■「日経トレンディ」8月号では「俺のピンク」という見出しをつけたが、ここ数年、ファッションにピンクを取り入れる男性が急増。この流れはデジタル機器やクルマなどにも広がっている。■例えばノートパソコン「レッツノート」の直販サイトの売れ筋カラーの3位はピンク。製品全体の購入層の8割強が男性だということから男性がピンクを買っている可能性は高い。■色彩の専門家によると、「今のように社会の不安意識が高まると、精神的な幸福を求める気持ちが強くなる」という。ピンクはもっとも幸せのイメージが最も強い色だ。男女の性別や年齢を越えた“ボーダレス消費”の傾向は商品の色にも変化を及ぼしている。
日経ブロードバンドニュース http://www.nikkei.co.jp/bb/index.html