イオン、宇都宮農場オープン 企業直営は県内で初 放棄地利用「救世主」(MSN産経ニュース)


MSN産経ニュース 2010.10.2
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tochigi/101002/tcg1010020308000-n1.htm

大手スーパーチェーン、イオンの直営農場「宇都宮農場」が1日、宇都宮市上籠谷町の清原南部土地改良区にオープンした。企業が直接農業に参入するのは県内で初めて。農業産出額が全国10位という農業県・栃木だが、農家の高齢化や後継ぎ不足から、1年以上作付けされない耕作放棄地は増え続けている。企業の農業参入は県内農業の新たな担い手となるのか?(松岡朋枝)
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「農家の収益確保と地域の雇用創出につながる取り組み。イオンと地域が一体となってやっていきたい」


清原南部土地改良区の岡本芳明理事長は農場オープンにあたり、こう強調した。


農場は、イオンの100%子会社「イオンアグリ創造」(藤井滋生社長)が同改良区の会員18人と6年間の土地の賃貸契約を結び、約4・3ヘクタールの農地を確保。地元から15人程度の従業員を採用するという。


既にキャベツとネギの栽培が始まっている。来春には農地は約6ヘクタールに広がる予定で、将来的には10ヘクタール程度の農地で「葉物を中心に20〜30品種」(藤井氏)の野菜を栽培する計画だ。


栽培した野菜は県内の「ジャスコ」などで販売する。生産量の拡大にあわせて、販売店舗を関東他県に拡大させるほか、イオングループの総菜や、外食部門でも活用する方針だ。


今回イオンが契約を結んだ土地は、農家の高齢化などで耕作が困難になると予想される“耕作放棄地予備軍”が中心だ。


県農政部経営技術課によると、平成17年の時点で県内の耕地面積の7・4%が耕作放棄地だった。全国平均の9・7%に比べて低い割合だが、12年の5・6%から増加していた。今も歯止めがかからない状況で、宇都宮市の佐藤栄一市長は「(農業活性は)行政、農家、JAだけでは打開策が見つからない問題。われわれにとって救世主だ」と、参入を評価している。


昨年12月に改正農業経営基盤強化促進法が施行されて企業が農業参入しやすくなり、食の安心・安全への関心の高まりも手伝って、参入が相次いでいる。大消費地の東京までのアクセスが良い栃木は、企業からの問い合わせも多い。


しかし、天候に左右される農業で、企業収益を安定させることは難しいとされる。「参入したはいいが、利益が上がらないといって途中で投げ出されては困る…」というのが、県内関係者の本音のようだ。